
日本のレコード文化を支えてきた巨人であり、常日頃から大変お世話になっていたナガオカ社長、長岡榮一さんが先月30日の夜、
急逝されました。
某雑誌に寄稿する原稿で、丁度ナガオカのことを書いている最中に飛び込んできた訃報でした。
榮一さんは、本当に太陽のように明るい人で、山形でも昔のナガオカ製品の説明をしながらバンバンジョークを飛ばし、 そのたびに本当に人懐っこい笑顔で「バカいってんだからさぁ〜、笑ってくれよ〜」と言いながら豪快に笑う、そんなユーモアに溢れた方で、 その反面ものづくりのことになると自分の作るものに絶対の自信を持ち、しかし自信は持てど決して驕り高ぶることが無い、そんな方でした。
榮一さんはご自身ではあくまで経営者というスタンスでいらっしゃいましたが、その実は完全なクリエーターだったと思います。 ビジネスマン然としたクリエーターが増える中、榮一さんのような「クリエイティブな経営者」 と出会えたことで凄く救われた気持ちになったことを強烈に覚えています。
葬儀・告別式は、榮一さんの愛した南洋のトロピカルな雰囲気の中で行われ、故人への愛に満ちた、とてもピースなものでした。祭壇には、 青と白の花で南の島の波があしらわれ、故人の写真の前にはたくさんのパイナップルやバナナが供えられているという光景は、 一歩間違えるとギャグになってしまいそうですが、榮一さんの笑顔にはそれがとてもハマっていて、 政治家からB-BOYまでに惜しまれながら旅立っていく様を見て、「あー、この人は純粋に”かっこいい人”だったんだな。」と、 しみじみと思いました。
実は山形を訪問した際に、榮一さんから「来てくれたからさ、DJ,これ持っていってよ!」と、一枚のレコードをいただいていました。

それは石原裕次郎の歌うハワイアンのレコードで、当初はそのレコードに意味があるなどとはまったく思いませんでしたが、 葬儀で榮一さんがそういった世界観を心から愛していたことを知り、このレコードは榮一さんにとっては渾身の一枚だということが分かりました。
葬儀から帰宅し、なにより先にこのレコードをナガオカの針で再生すると、そこで奏でられるのはまさに天上の音楽で、 僕はその時初めて長岡榮一さんの死というものをはっきりと理解して、天上の音楽による陶酔の中、僕は少しだけ落涙しました。
榮一さんのご冥福をお祈りしつつ、この曲を捧げます。
石原裕次郎 - おやすみなさい Good Night, Sweet Heart


